人工知能と機械学習の違い

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【公開:2019年8月28日】

目次

  1. はじめに
  2. 人工知能とは
  3. 人工知能の種類
  4. 機械学習とは
  5. どのように機械学習を行うのか
  6. まとめ
  7. 著者について

1. はじめに

この投稿では、最近トレンドワードである「人工知能」(artificial intelligence; AI)と「機械学習」(machine learning; ML)の意味とその違いについて説明します。

2. 人工知能とは?

「機械学習」より「人工知能」という単語のほうがよく見聞きするかと思うので、まずは、人工知能について説明します。理論的な説明をしてから、具体例を挙げて、人工知能の種類を説明します。


映画や本に現れる AI・人工知能はよく人間型ロボットまたは宇宙船を操縦するソフトの形で描かれています。一方、実際にウェブサイトやマーケティングで活用されている AI は、ほとんど「AIチャットボット」のようなサービスです。このように、「人工知能」というのは、知能を持ったロボットというイメージが強いのかもしれません。しかし、専門家と研究者が語る「人工知能」はもっと全般的なコンセプトです。文字通り、「人工知能」とは人間が作った知恵と推理力を持っているということです。つまり、人工知能の物理的な形より、その物の能力と知識、考え方などのほうが大事だということです。


「人工知能」に含まれる「人工」という単語は、もちろん「人間に作られた」ことを示していますが、人間や動物が持つ「知能」は「人工」ではなく「自然知能」と言われており、進化の結果の知能です。それでは、「知能」とはどのような意味を持つのでしょうか。


人間が課題に直面したとき、過去の体験に基づく推理や推測を活かして、その課題を合理的かつ制度的に解決する能力を「知能」といいます。分かりやすいように、例を見てみましょう。例えば、野球選手がホームランを打ちたいとします。その時には、どのように頭が働いているのでしょうか。最初は、どのように重力や風が球に影響するかを考えます。次に、どのように体を動かして球を打てばいいのかを決めます。これを決めるには、練習を重ねて身につけた「知識」と「感覚」を活かします。この経験を活かして、現状(風の方向や強さなど)に応じてホームランを打つことができるのを、「知能」と言います。


「人工知能」とは、過去のデータから学び、現状に応じて課題を合理的に達成できるシステムまたはそのコンセプトのことを言います。

3. 人工知能の種類

人工知能は、主に2種類があるので、それぞれの例を挙げます。

3-1 弱い人工知能

最近まで作られていたあらゆる人工知能・ AI は全て「弱い人工知能」です。弱い人工知能とは、精度が悪いということではなく、一つの課題しかできないシステムのことを表します。
「特化型人工知能」や、「専用人工知能」などともいいます。以下が、最近ニュースで取り上げられた専用人工知能システムです。


3-2 強い人工知能

映画や本などでもっとも現れる人工知能は「強い人工知能」です。なぜ「強い」かというと、人間や動物のように、一つの課題だけでなく、多数の課題をこなすことができるからです。
「一般人工知能」」とも、「汎用人工知能」ともいいます。こういう人工知能が現実に出現するまでは、まだ遠いでしょう。現在はまだ事例がありませんので、架空の例を挙げます。

4. 機械学習とは

架空であれ、実在であれ、人工知能を活用することでどのように世界を分かるのでしょうか。人工知能が物事を理解したり、行動を取ったりすることを可能にするのが「機械学習」です。弱い人工知能の事例は全て機械学習を使っています。


上記は「人工知能」について説明しましが、次は「機械学習」の分野について説明します。この分野で行われる研究は、あらゆる課題を解決するために様々なアルゴリズムとテクニックを開発し、解決しようとします。例えば「この脳の MRI から、患者はガンがあるかどうかを検出しなさい」や「この新聞の記事を要約しなさい」などといった課題例が挙げられます。もともとは、研究者が手動で「黒い点があり、その黒い点の直径が 1cm 以上であれば、ガンだとみなす」や「各段落の最初の1行を組み合わせてまとめる」などのようなアルゴリズムを考え出していました。


つまり、人間がデータを見て、どのように解決できるかを考えて、適切なシステムやアルゴリズムなどを開発していました。


しかし、このようなやり方は新たなデータに対する柔軟性が低く、問題ごとに開発する必要がありました。例えば、MRI データの場合、今回は脳ではなく乳房であれば、ガンの形や種類が異なります。文章の要約の場合、新聞記事ではなく、研究論文であると、書き方やまとめ方が変わってきます。


現在の機械学習と過去の機械学習を比べれば、もっとも大きな違いはアルゴリズムのパラメータがどのように設定されているかということです。今の機械学習では、アルゴリズムがデータから学習するときに、自動的に適切なパラメータを検索します。つまり、人間が行っていたテータとパラメータの調整をアルゴリズムに任せて、直接アルゴリズムにデータを入力して、アルゴリズムが最適なパラメータを自動的に探し出します。


初めてこのアイディアを唱えたのはイギリスの統計学者・進化生物学者のロナルド・フィッシャー氏だと言われています。フィッシャー氏は花の花弁と萼の長さと幅のみのデータからアヤメを種で分類できるアルゴリズムを公開しました。


「機械学習」とは、システムが大量のデータを読み込んで自動に賢くなるという技術やプロセスのことを言います。

5. どのように機械学習を行うのか?

機械学習の研究や開発をする人はよくこのアルゴリズムを「モデル」といい、課題を解決するにはそれぞれに適切なモデルを活用することが大切だと言われています。一つの課題に対し、複数のモデルの中には一つふさわしいモデルが存在すると言われています。


モデルは様々ですが、学習方法は主に3種類あります。利用できるデータによって、どのような学習が可能で、どのモデルを使えるかが決まります。

6. まとめ

機械学習と人工知能の違いを一言でまとめると、次のようになります。人工知能は、知能を表す人工物またはそのコンセプトです。機械学習は、システムをデータで賢くする技術やプロセスを意味します。

著者について

イニシャル:J.O.H

オーストラリア出身で、2018年に入社。エクスウェア株式会社でAI・ロボティクスチームで働くソフトウェアエンジニア。